2018年の統計によれば、1日あたりの認知件数が18件に上る性犯罪(強制性交と強制わいせつ)。国は今月、被害者支援の観点から性暴力被害に遭った人が相談しやすいよう、全国共通の短縮ダイヤルを開設した。
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しかし、性犯罪には“女性が男性からの被害に遭うもの”というイメージが強く、“男性は強く、たくましい”“性被害に遭うはずはない”という思い込みから、男性の被害者が訴え出ることが難しく、顧みられる機会が少ないのが実情だ。そこで13日の『ABEMA Prime』では、性被害の当事者と、男性やセクシュアルマイノリティの自助グループを主宰する支援者に話を聞いた。
■「親には言えなかった」
まだ性に関する知識がなく、何が起きているのかも理解できなかったという。「何だかよく分からないが、男性器が勃起してきて、身体の中から衝動が走ってきた。最後には快感が襲ってきて、大声を出した」。
さらに行為は続いた。今度は、中学生の男性器を口に押し込まれた。「頭を掴まれたまま、“さっきのようにやってみろ”と言われて。もう怖くて動けなくて…。どのくらい経ったかはわからないが、“おら!動くなよ”と言って、私の顔に大量の精子をかけた。それが私の最初の性的体験になってしまった」。一目散に家に逃げ帰ったりういちさん。「ティッシュで顔を拭いて家に帰ったが、何をされたかなんて親には言えなかった」。
高校時代には、トイレで用を足している時に同級生から男性器を触られたこともあるという。このような同性からの性被害を受けた結果、りういちさんは男性そのものを恐れるようになり、男子トイレに入れなくなった。今も多目的トイレを利用している。
■被害の記憶に今も苦しむ
悩みを友人に打ち明けたこともあったが、「こいつホモられた」「やっぱり気持ち良かったんだろ?」と笑われ、相談することもできなくなってしまった。「高校生の時に、“女はできないのか”と茶化されて、ついうっかり話してしまった。そうしたら、“お前、男とやったんだったら、女とやるともっと気持ち良いぞ”と。クラスにバラされてしまったらしく、しばらく女子が口をきいてくれなかった。セカンドレイプだ」。
りういちさんの話を聞いたケンドーコバヤシが「軽々しく“訴えればいい”“相談できる人を見つけた方がいいんじゃない”とは言えないと感じた」と感想を漏らすと、りういちさんは「自分が男性、もしくは女性に危害を加えてしまわないかという恐怖、そして申し訳ないが、コバヤシさんのような風貌、体型の方が近くにくると恐怖を感じてしまう」と告白。ケンドーコバヤシは「まさか自分の見た目が恐怖を与えているとは…。“言えない”状況というものが、よく理解ができた」と絞り出した。
■「顕在化しないケースが多い」「女性が加害者のケースも」
「私たちの社会には“男性は性被害に遭わない”“遭っても傷つかない”“傷ついても支援などいらない”という、“三重の否認”があるために、男性の被害者は加害者から傷つけられた上に、社会からも傷つけられるという二重の被害を背負っていくことになる。加害者が男性だった場合、“なぜ、自分が選ばれたのか”“自分が悪かったのか”、あるいは“自分はゲイなのか”といった疑問が共通して出てくるし、被害者が同性愛者だった場合、“性暴力の影響でゲイになったのか”という疑問も持ちやすい」。
「ウツワ」代表のハヤカワ五味氏は「子ども、女の子、かわいい動物の場合は共感されやすく、被害に遭ったと聞くと“どうにかしないと”となりやすい。いわば“かわいそうランキング”が高いということだ。それがおっさんになると、逆に“かわいそうランキング”は低いとみなされてしまいがちだ。また、本人の気持ちを抜きに、“女性からされたならいいじゃん”と茶化されることも多いと思う。そしてハラスメントは強い人から弱い人に起こるものである以上、女性の社会進出が増えれば、女性が加害者になることも増えてくると思う」と指摘すると、玄野氏は「もともと性暴力被害は腕力や暴力が伴っていると思われがちだが、人間関係を利用し、“NO”と言えない状況で被害に遭うことも少なくない。やはり知り合いや知人の場合は言い出しにくく、顕在化しないケースが多いので、暗数も多い」と話した。
■もし誰かに相談を受けたとしたら…
社会の変化について、りういちさんは「今年の1月からフラワーデモに出るようになり、スピーチもしてみた。参加者の皆さんは主に女性だったが、皆さん笑わず、頷きながら真剣に聞いて下さった」と振り返る。
今月、内閣府が開設した性犯罪・性暴力被害者のための相談窓口は全国共通短縮番号「#8891(はやくワンストップ)」、また警察庁が導入した全国共通短縮番号「#8103(ハートさん)」で、いずれも地域の相談窓口に繋がる。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

(出典 news.nicovideo.jp)
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