米大統領選はトランプ大統領の敗戦がほぼ確定した。郵便投票では不正の告発が行われ、トランプ大統領は訴訟を連発しているが、主要メディアはバイデン勝利に染まっている。
そのトランプ大統領がかつて所有していたカジノで戦い、後に惨殺された日本人がいる。
日本刀のような長い刃物で十数カ所をメッタ刺し1992年1月、山梨県の河口湖を望む、不動産会社社長・柏木昭男氏(当時54歳)の大邸宅――。
その日、家族はイチゴ狩りに出かけ、風邪気味だった柏木氏は1人残った。家族が午後9時半に帰宅すると、20畳の広さの台所が血の海となり、柏木氏が倒れていた。
日本刀のような長い刃物で首や胸など十数カ所をメッタ刺し。居間で襲われて台所へ逃れ、仰向けに倒れて失血死していた。
部屋の中は荒らされておらず、現金や高価な品物は手付かずだったため、強い怨恨による犯行と見られた。
容疑者は否認を続けて釈放山梨県警は捜査本部を設置し、連日100人を超える捜査員を動員。1カ月後、暴力団幹部の男性を殺人容疑で、男性と親しい女性を証拠隠滅の容疑で逮捕した。
男性は柏木氏と自動車の販売を巡るトラブルを抱え、車の中に血痕が残っていた。女性はその血痕を拭き取った容疑だったが、2人は容疑を否認し続け、凶器は見つからず、釈放された。
女性は後に朝日新聞の取材に応じ、長時間に渡る連日の取り調べで疲れ果て、混乱し、女性の供述を捜査員が「犯行を認めた」と強引に解釈したこともあったと明かした(92年4月14日付け)。
不動産業で荒っぽい地上げも「一代で100億の財を成した」と言われた柏木氏は、中学卒業後、富士山へ荷物を運び上げる強力(ごうりき)で資金を貯め、料理屋を開店。69年に柏木商事を設立して不動産業と貸金業に進出した。
事業で成功した後、河口湖を望む400坪の土地に建てた総ケヤキ造りの豪邸は、地元で「柏木御殿」と呼ばれた。高い白壁で囲われた邸宅を見て、寺院だと勘違いする観光客も多かったという。
「柏木商事は80年代に都心に進出し、バブル期特有の荒っぽい地上げで知られるようになりました。文京区での大掛かりな地上げでは、最後まで土地の売却に抵抗した小売店主の家の私道を塞ぎ、民事提訴されて敗訴。神奈川県では、私立幼稚園の土地と建物を競売で取得し、園児がまだ通っているにも関わらず差し押さえを実行しました」(調査会社社員)
バブルを象徴するような柏木氏の事業横山大観などの偽絵画を数十点掴まされ、数億円の被害を受けたこともあった。
「表向きには順風満帆でしたが、80年代後半には所有する不動産群に計100億円を超える抵当権が設定され、事業では欠損が積み上がっていました」(同)
柏木氏の事業は、ある種バブルの象徴だったといえるだろう。
バブル期は、銀行など金融機関系列の住宅金融専門会社(住専)が不動産に進出して杜撰な融資を繰り返した。読売新聞はその1社、日本住宅金融(日住金)の杜撰な融資例として柏木氏の土地購入を挙げている(96年2月1日付け)。
80年代後半に5億1000万円で売買された東京・永田町の土地を、柏木商事が2年後の90年10月に購入。日住金はこの土地購入に際し柏木商事に実に14億円を融資した。柏木氏が刺殺された後、日住金は土地を競売にかけて債権回収を図ったが、評価額(最低落札価格)はわずか約3億円。金をドブに捨てたような融資だった。
バブル崩壊により、住専7社が出した損失は計8兆円。救済のために巨額の税金が投じられている。
海外のカジノで有名人に柏木氏は80年代に海外のカジノへ行ってバカラを覚え、のめり込んだ。
90年の年明け、豪州ダーウィン市のカジノに通って約30億円勝ち、世界で名が知られるようになった。ロバート・デ・ニーロ主演の映画『カジノ』(95年)では、柏木氏をモデルにした日本人が登場する。
2月、マイク・タイソンとジェームズ・ダグラスのヘビー級タイトルマッチが東京ドームで行われた時、トランプ氏が来日し、対戦前夜にタイソンの部屋を訪問して柏木氏と面会した。
トランプ氏が大統領に就任した16年2月、アメリカの政治専門メディア「ポリティコ」が、トランプ大統領と柏木氏の死闘を振り返っている。
トランプ氏の招待に応じ、柏木氏はニュージャージー州のカジノ「トランプ・プラザ」へ。1回25万ドル(当時のレートで3750万円)を掛け、2日間で600万ドル(同9億円)勝った。
『ここまで取りに来い!』と逆ギレした柏木氏雪辱を果たすべく、トランプ氏は著名な数学者を招聘し、カジノ側が勝つためには「できるだけ長く勝負を続けること」という分析を得た。5月、2回目の戦いでは、柏木氏は1200万ドル(同18億円)のチップを持ち、それを2倍にするか、すべてを失うまで勝負を続けるという条件を呑んだ。最初の数日間は柏木氏が勝っていたが、6日後に負けは1000万ドル(同15億円)を超えていた。
柏木氏はその後勝てなくなり、殺された時はアメリカのカジノに少なくとも900万ドル(同13億5000万円)の借金があったと報じられている。
「カジノの利益の源泉はハイローラー(高額を掛けるギャンブラー)。ジャンケット(仲介業者)やカジノ自身が渡航費や宿泊費を負担して招待し、負けの清算も後日。その回収に対し、柏木さんは『ここまで取りに来い!』と逆ギレし、見せしめのために殺されたと囁かれましたが……」(関係者)
山梨県警は犯人を捕らえることが出来ず、この凄惨な事件は15年後の07年1月に時効が成立している。
(坂田 拓也)
(出典 news.nicovideo.jp)
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