総務省の有識者会議「発信者情報開示の在り方に関する研究会」第3回会合が6月25日ウェブ会議で開かれた。

アカウントログインした上で書き込みがされる「ログイン型投稿」において、ログイン時の情報を発信者情報開示の対象とすべきか議論がおこなわれ、「ログインした人と誹謗中傷を書き込んだ人が同一であることを証明した上で開示すべき」「IPアドレスなどがない場合に限定する縛りがある」などの意見が上がった。

後半は、事務局によるこれまでの論点整理をもとに、新たな裁判手続を創設することなどについて意見が出された。

次回の第4回会合で、中間とりまとめが予定されている。

ログイン時のIPアドレス、開示対象にすべきか

TwitterFacebookの投稿やGoogleマップの口コミなどは、アカウントログインした上で書き込みがされる「ログイン型投稿」だ。こうしたSNSサービスの多くは、投稿したときのIPアドレスなどを記録・保存せず、ログインした時のIPアドレスなどしか保有していない。

しかし、プロバイダ責任制限法では、アカウントログイン時の情報を開示の対象とするとは明記されていない。これについて裁判で争った事例は複数あるが、最高裁判所の判断はされておらず、下級審の判断は分かれている状況だ。

そこで、ログイン時情報を開示対象とする必要性や効果、開示対象とするログイン時情報の範囲をどこまで広げるかなどについて検討された。

清水陽平弁護士は「誹謗中傷する書き込みの直前にログインしているとも限らないため、開示対象を権利侵害投稿の準備行為の場合に限るべきではないと思う」とコメント。丸橋透教授も「ログイン者と発信者が同一と考えられる場合であれば、権利侵害投稿との時間的接着性という要件は重く考える必要はないのではないか」と話した。

他にも、ある程度範囲を広げるべきという意見が上がったが、北澤一樹弁護士は「柔軟な対応ができるような制度設計がいいと思うが、通信の秘密との関係でどこまで範囲を広げていいのか検討する必要がある」とした。

また、栗田昌裕教授は「本来であれば、投稿時のログ開示を求めるべきで、ログイン時は間接的な情報であることへの配慮をした制度設計が必要」、前田健准教授は「一定の条件のもと開示対象にすることはあっていいと思うが、他の情報では特定ができないことも求められる」と話した。

アプリなどの場合、毎回ログインするわけではないが、その場合ログインの処理はどうなるか」という鎮目征樹教授の質問に対し、清水弁護士は「アプリでもセッション時間が切れると、再度自動的にログインをしており、開示請求では複数のIPアドレスが出てくる」と話した。

アカウントグループで共有している場合や他人が乗っ取ってアカウントを使う可能性については、「IDとPWを使って別人が使った可能性を含めて誤爆というと、投稿時のアドレスであっても同じようなことになる」(上沼紫野弁護士)、「極めて例外的で、文言に落とす必要はないかもしれない」(丸橋教授)などの意見や、「可能性はゼロではないので、それを回避する方法があるのか技術的な検討をした上で判断すべきと思う」(大谷和子氏)という指摘があがった。

北條孝佳弁護士は「サービス提供事業者として、侵害情報を書き込みされた人を特定する情報を取っていないことも本来の問題ではないか」とSNSの本人確認のあり方についても言及した。

新たな裁判手続きを設けるか

会の後半は、事務局の論点整理案をもとに、意見がかわされた。

<ログの保存期間について>

保存期間はSNSの場合に使用されることが多い携帯電話では90日程度のため、被害から法的手続きをとるまでに時間がかかるとログの保存期間が過ぎ、相手を特定できなくなるケースがある。

ただ、通信の秘密の観点やプロバイダの負担などから、全てを保存義務づけることは難しいとの意見もある。

鎮目教授は「アクセスプロバイダの通信履歴は、通信の秘密として保護される対象であり、一定期間後はむしろ消去しなければならないと考えられてきた」と指摘し、一律での保存義務を課すことには慎重になるべきだとした。

また、特定のログを保全できるようにする仕組みについても、「膨大なログの中から、抽出し保全する負担を事業者に課すことになる。どの程度現実的なのか、実態調査をすることが必要」とした。

清水弁護士は「ログ保存は必要だが、最近ログの開示請求をしてもログの調査をしないプロバイダも出てきている。調査義務のようなものも定めてもらいたい」と要望した。

<新たな裁判手続きの創設について>

今の制度では、誹謗中傷を書き込んだ相手を特定するまでに、SNS事業者や掲示板管理者などのコンテンツプロバイダに対する開示請求、そこで判明したIPアドレスなどを元に電話会社などアクセスプロバイダに対する開示請求と裁判を2回おこなわなければならない。

また、プロバイダはあとから投稿者に責任追及されるリスクを避けるため、裁判で「権利が侵害されたことが明らかであるとは言えない」などと反論する。プロバイダにとっても、裁判対応の増加などにより負担が増している状況がある。

そこで、現状に代わる方法として、プロバイダを被告としない形で新たな裁判手続を設けるかどうかが議論された。

若江氏は「プロバイダ側の防御をはがすと、匿名表現の保護レベルを下げる懸念がある」と指摘。

「誰が、発信者の権利を主張するのか。発信者情報開示請求は、被害者から見ると責任追及の前の前哨戦と言われるが、発信者にとっては開示されたら終わりなので、最終決戦となる見合いがある」と話し、迅速化を図りつつも開示を慎重に判断する制度にするよう要望した。

北澤弁護士も、プロバイダを当事者から外すことについて「慎重な検討が必要。発信者が裁判に巻き込まれ、反論しないと開示が認められてしまうのであれば、裁判してもいいと思うひとしか表現できなくなるのではないか」と懸念を示した。

前田准教授は「発信者の手続きを保障するため、発信者の利害を主張できる存在が手続きに関与すべきではないか」と提案。垣内秀介教授は「最初の段階では発信者が誰かわからない状態で手続きを進める。情報を持っているのはプロバイダなので、当事者的な形で関与せざるを得ないと思う」とした。

曽我部真裕教授は「新しい手続きという大きな提案があった。制度設計の幅が広がったことで、バランスをしっかり考えつつ進めなければならない」と話した。

構成員名簿(五十音順・敬称略)

上沼紫野 虎ノ門南法律事務所 弁護士
大谷和子 株式会社日本総合研究所 執行役員 法務部長
垣内秀介 東京大学大学院 法学政治学研究科 教授
北澤一樹 英知法律事務所 弁護士
栗田昌裕 名古屋大学大学院 法学研究科 教授
(座長代理)鎮目征樹 学習院大学 法学部 教授
(座長)曽我部真裕 京都大学大学院 法学研究科 教授
前田健 神戸大学大学院 法学研究科 准教授
丸橋透 明治大学法学部 教授
若江雅子 株式会社読売新聞 東京本社 編集委員

第3回会合から、清水陽平弁護士と北條孝佳弁護士も構成員として参加した。

ログイン時のIPアドレス、発信者情報開示の対象にすべきか 総務省の有識者会議で議論


(出典 news.nicovideo.jp)


<このニュースへのネットの反応>

でもこれって動的アドレスと静的アドレスあるよね。動的だと一定で変わるからIP変わった後に「それでも俺は書いてない」と言い張れば証拠としては弱いよ?もちろん動的でもログがあれば立件は可能だろうけど…何にしてもバカな中傷を書いてる奴は辞めたほうがいいってことだな。


Tor「草」


誹謗中傷してる政治家はなんで取り締まらないんですかぁ??


動的割り当てでも一応サーバ側にログは残るよ。ただ、そこからさらに特定するのはめんどくさいけど。


タマネギのやつとか、野良のくしで書きこめる掲示板とか、対策が甘すぎる。捕まらないんじゃないか。


これから批判できないよ


IPアドレスって変わりやすいから、証拠とするには少し弱い気がする。投稿時のアドレスを保存してないとこもあるって記事内でも書かれてるし。本当は誹謗中傷しない活用がされればそれが一番なんだが。もう少し裁判形式を簡略化して保存ものだ


誹謗中傷を簡単に立件できる犯罪にしたい方は事実上批判(事実に基づいたものでも)不可能になり、これまで以上に恣意的な情報しか得られなくなることをどう思っているのやら


発言に責任を持ってる人の方が多い、大丈夫。


自称IT詳しいニキの誤ったイキリ論を見れる記事すこ。


開示しやすくなるのは良いね。しかしそういうの要求してるTwitterの人に集まってるのは真っ当な批判が多いので現実的にはあんま変わらないよね


いやさっさとインターネットを登録制とか免許制にしろよ。何も困らんわ。あほなこと言わなきゃいいだけなんだからさ。


以前どこかの警察がIPアドレスが同じだからと誤認捜査した事件があったけど、これもそんな感じがする。構成員が法学の人ばかりだからこんなことになってるんだろうか


まあBOT特定は楽になるんじゃない?


おまえらビビりすぎ。


プロバイダ契約の時点での、「国籍登録」と、各種アカウント取得時の「国籍開示」を義務付けよう。日本人は誰も困らない。 人種差別&ヘイトスピーチは取り締まるのに、「国籍偽装」「人種成り済まし」は無法地帯


▲【新志有裕】弁護士ドットコムの編集長。一橋大学商学部、慶應義塾大学研究科、西日本新聞社で記者。 ▲【亀松太郎】前編集長、現アドバイザー。東大法学部、朝日新聞で記者、J-CAST記者編集者、ニワンゴの幹部に天下りし、このニコニコニュースの編集長


弁護士ドットコムの編集長は、朝日新聞の記者で、早稲田大学出身。日本*の流行語大賞は選考員が全員「早稲田の出身者」。ユーキャン本社は高田馬場にあり、早稲田の最寄り駅。新大久保&歌舞伎町の隣。


ご存知?このニコニコニュースと【弁護士ドットコム】って朝日新聞の息がかかってるんだぜ? 元編集長「亀松太郎」 @kamematsu 朝日新聞の新メディア「DANRO」編集長。「あしたメディア研究会」座長。


IPアドレスって、ルーターの電源を切るたびに、変わるんじゃなかったかな?


その有識者とやらが法律関係者ばかりっていうね...。議題の内容を考えると、コンピュータに詳しい人間を加えるべきだろうに。ほんと意味不明だわ。


発信者情報開示無視してソーシャルエンジニアリングで個人情報盗んで相手を訴えようとしたアホなら知ってる


ネットでイキるチー牛くん達のストレスのはけ口が減って事件とか増えたりしないか不安


そのためのIPv6です。MACアドレスが含まれるので一応の端末特定が可能。すべての端末で変更不可というわけではないですが、普通は無理です。


通信機器の契約・更新にマイナンバー紐づけでいいだろ。フリーwifi接続時に何かしらの認証が必要になるけどな。


中国みたいに国外サービスを完全にパクった国内サービスを作らせて国内にはびこる国外サービスを完全に排除したらいいだけの話だろ  VPNや東亜を使える程度の脳みそがあるやつは一旦考えずそういった回避をする知恵が無い大勢を相手にするだけで効果的には十分だし問題は無い


今は常時接続が主流だろうし、同一アドレスでログイン者と発信者が異なる可能性ってそんなにあるのか?スマホだとそういうもんなの?


確かに5chみてるとコロコロ変わってるが、ログイン時点と書き込み時点くらいの時間差で変化するって雰囲気は無い…まあ絶対確実じゃないとやはりダメなのか。


倫理の部分しか討論せず技術をまるで見てないっていうのがある意味すごい。ネットの世界じゃどっちがネックになるかなんてすぐわかるだろうに


経路も全て開示しないと意味がなさそうですね。


対策されている5ch等の大手はともかく、一般的な鯖はタマネギをどうやって防ぐつもりなのだろう?やろうと思えば、事実上アドレスをマスク出来るのだが……掲示板の書き込みはそのシステム上非常に軽いので、タマネギ経由でも十分書き込める。


>>講タロー マジでこれ。IPから住所や個人を特定する方法は結局プロパイダのDHCPログを漁るしか無い訳だが、そもそもWhois情報が含まれてない動的IPをどうやって"速やかに"特定するかが問題なんだよねコレ。


しらべたらAIのBOTはみつかったが、製作者は不明で「調べた結果誰からも弁護士費用を請求できませんでした」の事態から、弁護士が逃げたいだけじゃないかとも思う。


IPv4だと現時点で携帯電話事業者は利用者の端末に対して与えているIPアドレスはプライベートアドレスを割り当てるのが標準なのでIPアドレスで特定が可能だけど手間がかかる。まぁ、IPv6な場合は余裕があるからグローバルアドレスな為、特定容易だろうが。これもほぼ固定だけど動的IP割当になんだよな・・・


日本のネットから匿名性が失われたら近平や将軍様とかが喜ぶんじゃない?