イカの透明化能力

イカの透明化を人間の細胞で再現 Paul Campbell/iStock

 イカ二貫!?(千鳥)とか言ってる場合じゃなかった。日本にも食用として輸入されている「カリフォルニアヤリイカ(学名 Doryteuthis opalescens)」にはすごい力が秘められている。頭足動物の能力である、皮膚の色を変えられるのはもちろん、透明になることも可能なのだ。

 だが、もっとすごいのは人間だ。なにしろその能力を自らの細胞で再現することに成功してしまったのだから。

 これってもしかして、SFの世界ではよくある透明人間ってやつが登場する日もやってくるってことなのかしら?それはちょっと胸熱だ。

―あわせて読みたい―

コウイカ先輩ぱねぇっす!自らのオーラ(生体波)をコントロールし捕食者の目を欺くことが判明(米研究)
探し物が見つからない!物体を透明にする方法が発見される(イスラエル研究)
透明マントが現実味を帯びてきた。新たなる光学迷彩技術で簡単に身を隠すことができる素材が開発される(カナダ)
人間の内臓を完全に透明にすることに成功(ドイツ研究)
生物の体を短時間できれいに透明化する技術が開発される(オーストリア研究)

特殊なタンパク質を調整して体の色や模様を変化させる

 動物界には体を透明にする能力を持つ種が存在する。例えば、スマトラトビトカゲ(学名 Draco sumatranus)は、注目を集めるためにノドのファンを透明にして、それをディスプレイする。

 今回注目されたのは、カリフォルニアヤリイカのメスである。この透明化能力は、外套膜(がいとうまく)の縞模様を不透明な白からほぼ透明に変化させて目立たないようにするもので、こんなことができるのは「白色素胞」という特殊な細胞があるおかげだ。

 そこに備わっている膜結合粒子は「リフレクチン」というタンパク質でできている。このタンパク質の配置が変わると、光の透過率や反射率が変化する。

 そこでヤリイカは神経伝達物質「アセチルコリン」を利用して、リフレクチンの配置を意図的に制御し、体の色や模様を自由に変えているのだ。

カリフォルニアヤリイカ


人間の腎細胞にリフレクチンを発現させることに成功


 カリフォルニア大学(アメリカ)の研究チームは、このメカニズムを人間の組織で再現するために、ヒト腎細胞の遺伝子を改変してリフレクチンを生産できるようにしてしまった。

 すると細胞全体に球形のナノ構造でまとまったリフレクチンが出来上がったとのこと。

 さらに、リフレクチンを含んだ細胞を塩化ナトリウムに浸すと、その濃度によって光の透過率が変化することも確認された。

 なお、そうなる理由は、塩化ナトリウムに触れたリフレクチンの粒子が膨張し、その並び方が変わることであるそうだ。塩化ナトリウムを増やすと光の散乱が増すので、その分だけ腎細胞は不透明になる。

 メスのヤリイカアセチルコリンで皮膚の透明度を調整しているのと同じようなメカニズムだ。

3_e24

白い矢印の部分が人間の腎細胞に発現したリフレクチン。右の色付き画像は、特定の領域を通過する光に関連する経路長を示している。(赤色はより長い経路長に対応し、青色はより短い経路長に対応する)
image by:Atouli Chatterjee / UC

透明化技術で未来が変わる?


 研究チームによると、この成果を応用すれば、色のパターンを変化させるイカの能力を、哺乳類の細胞に組み込むこともできるかもしれないという。

 科学者の興味本位のようにも思える研究だが、実用的な応用がある。生体組織の透明度を上げることで、新しい発見がなされるかもしれないからだ。

 たとえば過去には、クラゲから得られる緑色蛍光タンパク質が、生体内の活動を追跡する上で欠かせないツールとなった実例がある。その単離に成功した下村脩氏がノーベル賞を受賞しているほど重要な発見だ。

 かつて、人間の手による光学迷彩はSFの世界にのみ登場する未来の科学技術だった。それが現実のものになろうとしている。

 もしかしたら、今回の透明化タンパク質を発現させる技術も、いずれそのような科学には欠かせないツールになる日が来るのかもしれない。

 そんでもってそう遠くない未来、透明人間、部分的透明人間が誕生したりしなかったりするのかもしれない。

 この研究は『Nature Communications』(6月2日付)に掲載された。

Cephalopod-inspired optical engineering of human cells | Nature Communications
https://www.nature.com/articles/s41467-020-16151-6

References:phys / inverseなど

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52291593.html
 

こちらもオススメ!

―サイエンス&テクノロジーについての記事―

生物の体を短時間できれいに透明化する技術が開発される(オーストリア研究)
全身麻酔で意識が失くなる理由が175年以上の時を経てついに解明(米研究)
史上初、六角形の塩が誕生(ロシア研究)
オートパイロット運転中のテスラ車、横転したトラックに突っ込むというアクシデント(台湾)
米海軍がレーザーでドローンを撃墜する瞬間の映像が公開される(アメリカ)

―知るの紹介記事―

ドイツの中にベルギーが?複雑な国境問題を引き起こしたフェン鉄道
死海文書の謎をDNA分析で紐解く。その一部は他地域から持ち込まれた可能性(イスラエル・スウェーデン共同研究)
レゴブロックで蜂の巣を作成した男性、3万匹のミツバチが巣として利用(アイルランド)
愛猫を亡くしたカップルの元にふらりと現れた野良猫、とんでもないサプライスを運んできた(アメリカ)
かかつて火星に環があったことを示す新たな証拠が発見(米研究)
透明人間の誕生なるか?人間の細胞にイカの透明化能力を発動させることに成功(米研究)


(出典 news.nicovideo.jp)


<このニュースへのネットの反応>

後のイカ娘でゲソ。


翠星のガルガンティアじゃん。なつかしすぎ


ヒディアーズの誕生である


それよりも人体から触手を生やす研究をだな・・・


デスストランディングか?


実験動物の世界では、ネズミとかが透明化してるし人間を透明化するのも可能なのではと思う。倫理的にあかんと思うけど、そういうのを気にしないマッドな世界ならするかもしれない。


完全に透明にはならずともクリスタルボーイ位までは。変身サイボーグ?ちょっと何言ってるか分からない。


透けても内蔵は見えるだろうし出来てもゲーミング人間でしょ


SCPにイカカワイイデスって汚染されるのあったなぁ…


アクアリストなら「グラスキャットの細胞使った方が透明度上がると思うよ?」とでも言いそう・・・。


火の鳥でやってたみたいにどこかのタイミングで人間扱いされなくなりそう(´・ω・`)


ゼリーマンみたいな見た目になりそう…。


なんかイカくせーんだけど


M.O.手術かな?


実は俺の髪の毛にはすでにこの能力が付与されてるんだ


まさかと思っているのでしょうが~♪


細胞は透明にできたとして血液とか食べた物とかどうなるのかな?


なんかこわい


髪の毛はどうなるんだろ


でも日焼けのメラニンには勝てないんだろ


透明人間は目が光を反射出来ないから目が見えないとか 臓器だけ透明にしないパターンだと太陽光眩しくても手で遮れないしまぶたっも閉じれないから目がつぶれるとかじゃないっけ スパイ活動にも使えないし日常生活もままならない欠陥人間っすよ


テラフォーマーズの中国姉さんかな


透明化は色々無理あるだろうし、体表面の色変えられりゃいいんじゃないかな。人外娘再現とかの平和的(あるいは*的)利用から、生体迷彩みたいな軍事転用までいけそうだし。


手術で目視しにくい箇所付近を透明にするとか?タトゥーに使うとか?


ああ、透明人間だ!(超高速理解)


でもなぁ。鼻血かけられたらバレるしなぁ。


ヒディアーズじゃん。殲滅しなきゃ(使命感)


ガルガンティアのヒロイン可愛かったよなぁ(話題無視)


既に人間には、 イカのような臭いを・・・


迷彩や保護色にはなっても透明にはならんやろ。 それができるなら女性の服に使い始める*出てくるやろ・・・


俺はクリオネマンが思い浮かんだ


なお透明人間の元祖であるグリフィン博士は治療薬を作らなかったせいで『誰も自分の存在を認めてくれない』と発狂、犯罪行為に走り最後には住民から集団リンチで殺害された模様