◆4月1日からパチンコ店全面禁煙化へ
いよいよ明日4月1日より、全国のパチンコホールが一斉に禁煙化される。これは健康増進法の改正を受けたもので、パチンコホールに限らず、飲食店等の屋内型施設はほぼこの改正により禁煙となる。
パチンコ業界としては、「ホール禁煙化」を機に、空調環境の綺麗になったパチンコホールを大々的に広報したかったのだろうが、折悪く新型コロナウイルス感染症の影響により、新台入替の広告等の集客を目的とした広告宣伝のみならず、一切の広告宣伝を自粛している現状で、パチンコの歴史の中でも一大転機となる「ホール禁煙化」の告知がとても限定的な広報に限られてしまった。結果、パチンコホールの常連客ですら、4月1日からの禁煙化を知らない人もいる始末。
本稿では、遊技客とホール、双方の視点からパチンコホールの禁煙化について考察する。
◆遊技客の視点からのホール禁煙化
まずパチンコホールに訪れる遊技客の視点から、この度の「禁煙化」について解説する。
そもそも具体的に、4月1日から、どの範囲で禁煙化が実施されるのか。
①パチンコホール内は、原則禁煙。ホール内に設置された喫煙スペース(喫煙所)でのみ喫煙が可能。
②iQOS、glo、Ploom TECH等の加熱式煙草に限って、ホールを壁や仕切り等で完全に分煙対応している場合に限り喫煙しながらの遊技が可能。
③屋外(パチンコ店の敷地内)においては、喫煙が可能。
この3つだ。
②に関しては、特殊なルールではあるが、一部店舗ではこの様な形で営業するホールがあると聞くが、全国のほとんどのパチンコホールでは、①か③の選択肢しか無い。
ちなみに、今回の禁煙化に際し、大手飲食チェーンですら「加熱式煙草」を「電子タバコ」と表記している場合があるが、正確には、日本における電子タバコにはニコチンが含まれておらず、前述の加熱式煙草とは全く種類が違う。一部、海外から輸入された電子タバコにはニコチンを含むものもあるが、これはホールによって通常の紙巻き煙草と同様の扱いになるのか、加熱式煙草と同じ扱いになるのかは判断が分かれるところ。
仮に遊技客が禁煙化されたホールで煙草を吸った場合、吸わせたホール側だけではなく、遊技客自身が罰金を払う可能性もあるので注意されたし。
4月1日からのホール禁煙化に向け、多くのホールでは喫煙スペースの設置を既に終えている。今後、喫煙する遊技客は、喫煙スペースまでの距離の近さ等の、喫煙しやすい環境を備えたホールを選択する可能性も大いにある。
◆ホールの視点から見る禁煙化のメリット
パチンコホールの禁煙化によって、喫煙する遊技客がパチンコを止めるのではないかという憂慮があるという声もまま聞くが、自店だけが禁煙化する訳ではないので、多くのホールでは客数が大きく減少することは無いであろうと考えている。
4月1日からのホール禁煙化において、パチンコホールが考えるホール側のメリットとデメリットは取材をした限りでは以下の通り。
【メリット】
①休眠ユーザーや新規ユーザーの来店動機を拡大することが出来る。
②煙草に関連する業務の軽減による効率化が図れる。
③新卒採用やアルバイト採用におけるデメリットを払拭出来る。
ざっと説明すれば、①や③は、「タバコ臭い」、「服や髪に匂いがつく」と言われた、パチンコ店が敬遠される大きな理由の一つが解消されることにより、現状よりも少なからず改善されることは間違い無い。特に③の採用に関しては、サービス業の人材不足が叫ばれる昨今、比較的時給の高いパチンコホールが、求職者の選択肢の中に入ってくる可能性は高まる。
②に関しては、実際のところ、灰皿の清掃や空調設備への投資等、遊技客の喫煙によって生じていた業務営業コストの削減が図れる。日に日に厳しさを増すパチンコホールの営業にとって、この削減から得る金銭的なメリットは小さくない。
◆ホールの視点から見る禁煙化のデメリット
逆にデメリットは何か?
【デメリット】
①喫煙者が遊技台から離席する時間が長くなる。
②禁煙化の周知がなされていない客等とのトラブル。
③喫煙スペース設置や増設のコスト。
一般には余り理解されていないのが、①の「遊技客の離席時間」である。仮に喫煙する遊技客が1時間に煙草を2本吸う場合、1時間で10分から15分間、遊技を止め、席を離れる。この遊技客が本来3時間遊技していた場合、30分~45分間、遊技をしていない時間が生じる事になる。パチンコホールにとって、この稼働時間の減少は本音では痛手だ。だから大型店舗や大手チェーン店等では、ホール内の至る所に喫煙スペースを設置し、遊技客の離席時間を最小化する工夫がなされている。またホールによっては、「喫煙中カード」なるものを準備し、遊技客が喫煙するために離席する際には、このカードを遊技台の上に置いて離席することを推奨しているところもある。これは、ホールを巡回しているスタッフが遊技客の離席理由を把握するという目的もあるが、遊技客自身に、「10分以内」に戻ってくるように意識付けをさせるためのものでもある。
問題は②だ。パチンコホールの禁煙化を知らない遊技客が喫煙した場合、ホールスタッフは喫煙スペースでの喫煙を促すだろう。禁煙化を知らない遊技客からすれば、「昨日までは吸えたのに!」と不快に感じる場合もあるであろうし、それがトラブルに発展しないとも限らない。また前述の「喫煙中カード」には「10分間」と書かれているのに、遊技客が2本~3本の煙草を吸ってしまい、20分程度離席していれば、場内アナウンス等で遊技台に戻る事を促されてしまう。これも一部の客にとっては不快なことであろう。まして負けていればなおの事。パチンコホール側でも、このようなシチュエーションに対する接客について、いくつものパターンを想定しているが、実際に禁煙化当初は様々なトラブルが起こり得る。ちなみに③は言わずもがな、割愛する。
2020年4月1日からの、パチンコホール禁煙化は、パチンコ産業の長い歴史においても大きな転換点になる。パチンコと煙草はセット。そういう業界関係者やファンもいるが、これも時代の流れ。
時代の変化に対応出来れば生き残る事が出来るし、頑なに変化を拒めば衰退する。
それが世の常である。
<取材・文/安達夕>
【安達夕】
Twitter:@yuu_adachi
(出典 news.nicovideo.jp)
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