Aさんは病院に診察に来ました。中待合があって部屋は分かれているものの、前の患者さんの声が聞こえます。自分と同じ高血圧の患者さんのようです。「最近、頭が痛くて」と患者さんが言うと、「そうですか、大丈夫ですから。薬を出しておきますからね」との返答。どこか冷たい感じです。

 Aさんは、自分も頭が痛くて今日相談しようと思っていました。前の患者さんが出てきました。よれよれのTシャツに切れているズボンをはいています。「もうちょっときれいにすればいいのに」と思いながら、自分の番が来ました――。

「医者は患者を身だしなみで判断するのか」。この疑問を、平松類医師(医学博士、昭和大学兼任講師)にぶつけます。NHKあさイチ」、TBSジョブチューン」、フジテレビバイキング」、テレビ朝日「林修の今でしょ!講座」など、メディア出演豊富な平松さんは何と答えるでしょうか。近著に「知ってはいけない医者の正体」(SB新書)があります。

身なりが乱れた患者に、医者は質問をあまりしない

 筆者は、医者が見た目で治療を変えることはあると考えています。医者に見てもらうにも最低限のマナーがあると思いますので、それなりの身なりで行くようにしています。

「医者は、患者さんを分け隔てなく見てくれることになっていますが、現実にはそうではないと感じるでしょう。『身なりで判断するなんてひどい』。そう思うかもしれません。一方で医者は『自分はそんなことしていない』と思っています。それは本当だろうか? あくまで建前で、見た目で判断しないと言っているだけではないか? ということで150人の患者さんが医者と対話している様子を研究したものを紹介します」(平松さん)

「研究では『身だしなみが悪い、だらしない患者さん』と『きれいにしている患者さん』で医者の対応がどう違うのかを調査しました。結果はとても残念なものでした。身なりのきちんとしていない患者さんには、医者は質問の機会を与えないということが判明したのです。つまり、『私の言う通りにして、おとなしく治療を受けていればいいんだ』という態度を取るのです」

 では、どうすればよいのでしょうか。平松さんは、身なりをきちんとすることが大切だと言います。きれいな服を着る、必ずお風呂に入ってから病院に行くということではなく、ごく普通の格好であれば問題ないそうです。

 まれに、「病院は病人が行く場所だから、汚くてよれよれの方がつらそうに見られて、優しく診察してもらえる」という人がいますが、これは間違った情報のようです。

こんな患者は要注意と思われる

「ただ、きれいにしすぎてもむしろ変になります。ある救急の医師が言っていましたが、『夜中に急に痛みが出て、つらくて死にそうだというのに、ばっちり化粧がしてあって、ブランドバッグを持ってきている人は注意して診察しなさい』とのことです。『緊急事態なのにこんなに着飾るなんておかしい。本当に痛むのか? まったく別の言いづらい事情があるのではないか』と疑った方がいいということです」

 実は、もっと困った問題があります。患者さんの身なりや話し方次第では、「効く薬をあえて出さない」こともあるそうです。

「よくあるのが糖尿病です。悪くなったら、インスリンという注射を打つこともあります。ただ、インスリン注射は、患者さんが自分で打つものです。注射の量を間違えると意識を失ってしまうことがあります。医者としては『こちらの方が医学的には正しいが、この患者さんはだらしないし、注射を間違って打ってしまうだろう』と判断して、弱い治療で我慢することがあります」

「では、どうすればよいのでしょうか。かなり極端に見た目で判断する医者がいました。そのとき、看護師が間に入って付き添いのような立場で話を進めると、医者は普通の患者さんと同等以上にしっかり話してくれるようになりました。周りの人がクッションになり、『多少難しい話でも、横から説明して助けてくれる』と患者さんは思うようです」

 一般人には分かりにくい医者の行動。しかし、これらの行動は医者の単なる怠慢ではありません。真剣に病気やけがを治そうとする結果、やむを得ずしてしまう行動もあります。私たちが正しい情報を知る努力も必要だと思われます。

コラムニスト明治大学サービス創新研究所研究員 尾藤克之

医者は患者の見た目で態度を変える?


(出典 news.nicovideo.jp)


(出典 sinrigakulab.com)



<このニュースへのネットの反応>

これも一種のトリアージなのか?


それは医者も人間だから身なりがだらしない⇒自身の体も気遣わない人 と見てしまうかもしれない。 が、だからといって実際の対応自体まで変えるのはいかがなものか…


そりゃそうだろうね。美人女優が医者や歯医者と簡単にくっつくのも、どれだけ贔屓したんだ?と思うし。


だらしない奴の話なんてどこまで信じたらいいかわからんしな。話なんか聞かれなくて当然


具合が悪くて今にも倒れそうなときに身なりになんて気を遣ってらんないわ。食中毒やインフルは特に。


そりゃそうだろうけど、人種差別などとは違って身だしなみなんか努力でどうとでもなるし。いきなり交通事故にあっても恥かかないよう、穴の開いた下着とか使っちゃダメ。


はっきり言ってしまうと、そういう人って話が信用できないし、簡単な会話が成立しなかったりするから、客観的な指標に依ってしまうのは仕方ない部分もある。身なりそのものじゃなく、どういう人がそういう身なりをしているかが重要。


ところが、インターネット関連の問題は、なかなか目に見えないものであるとともに専門的な知識が必要とされるものでもあります。そのため私のところを訪れる依頼人は、誰にも相談できずに困り果てて来る方と、周りに相談したけれど専門的なことはわからないから私のところに辿り着いた方と、両方のケースがあります。