厚労省で例年通り「最低賃金の見直し」が7月4日から始まっている。まずは中央の審議会で議論し、示された目安をもとに地方の審議会で各地の事情を反映させる。

最賃については、2016年6月に閣議決定された「ニッポン1億総活躍プラン」で年3%程度をめどとする引き上げ方針が示されており、近年はその通りに推移している。

仮に今年も3%アップなら、全国加重平均は874円だから、今秋には900円前後になるとみられる。


こうした中、苦境に立たされそうな業種の1つが、24時間営業などの問題で揺れるコンビニ業界だ。

コンビニバイトは最賃引き上げの影響受けやすい

コンビニの時給は最賃近くに設定されていることが多く、引き上げの影響を受けやすい。

リクルートジョブズの調査によると、三大都市圏アルバイトパートを募集するときの平均賃金は1051円。一方、コンビニに限定すると980円で50超ある調査対象のうち下から2番目となっている(2019年5月度)。

ちなみに2018年度の最賃はそれぞれ、東京985円、大阪936円、名古屋(愛知)898円だ。


同調査の前年同期(2018年5月度)をみてみると、コンビニスタッフの募集平均は952円。最賃の上昇などを受けて、1年間で28円上昇していることになる。

最賃の上昇がオーナーの収入を圧迫、有休義務化の影響も

24時間、年中無休のコンビニは他業種に比べ、人件費がかかる。たとえば、常時スタッフ2人配置で考えると、時給が5円上がるだけでも人件費は年間9万円強アップする。

今秋の最賃改定で東京が3%アップすれば、最賃は29円上がる。単純に時給29円アップと考えれば、年換算で50万円ほどの経費増になる計算だ。


さらに今年4月から「有給休暇の取得義務化」(5日間)が始まっている。社員として雇っているスタッフはもちろん、シフト次第ではアルバイトパートも対象になるため、人件費はさらに増える。

この5年でオーナーの収入激減、シフトに入るのも限界

最賃の全国加重平均はこの5年で110円引き上げられた(2013年度:764円→2018年度:874円)。先のリクルートジョブズ調査でも、コンビニの募集金額は5年前の同期比で101円上がっている(2014年5月:879円→2019年5月:980円)。

仮に時給100円アップで考えると、単純計算で5年ほどの間に人件費が約190万円増えたことになる。一方、コンビニの平均日販は頭打ちとなっており、オーナーの収入は減少傾向にあるとされる。


実際、経産省オーナーを対象に実施した「コンビニ調査2018」では、半数のオーナーが過去数年とくらべて、売上が減ったと回答。店舗経営で不安に感じることとして、人件費の上昇(81.7%)、人手不足(78.5%)をあげている。


現実的には、収入減に手をこまねいているわけにはいかないから、スタッフを減らして「ワンオペ」にしたり、オーナー家族がシフトに入る時間を増やしたりして対応することが多いとみられる。しかし、それにも限界はある。

経産省の調査では、「加盟していることに満足しているか」という問いに対し、「満足している」が69%から53%に減少。「満足していない」は17%から39%に上昇した。


本部はロイヤルティーの見直しに消極的

コンビニ大手も加盟店に対する支援策をしてこなかったわけではない。しかし、利益配分の見直しには消極的だった。唯一、セブンイレブン2017年ロイヤルティー(チャージ)を1%減額しただけだ。

ただし、これについては最賃の上昇だけでなく、勤務管理システムで店員の労働時間を15分単位で切り捨てていたとして、2016年8月に行政指導を受けた影響もあったとみられる。本当なら1分単位の支払いが必要だ。

今年2月以降、コンビニ大手は経産省の要請などもあり、加盟店支援策(行動計画)の策定を迫られている。しかし、本部業績に与える影響が大きいロイヤルティーの引き下げには各社、依然として慎重な立場だ。

たとえば、24時間営業に月10万円の補助金を出しているファミリーマートでは、最賃の引き上げにあわせて、毎年の金額改定を明記した。それでも今年は月3000円(最低賃金のアップ率が3%だったため)増えただけにとどまっている。


最賃は当分上がる ロイヤルティー減額は不可避

7月21日投開票の参院選でも、最賃の引き上げを訴えている党は多い。野党では数年のうちに時給1300円や1500円という目標が掲げられている。

政権与党の自民党も、年3%ほどのアップを継続し、全国加重平均1000円を目指す方針だ。党内には今年、最低賃金の全国一律化を検討する議連までできた。景気がよほど落ち込まない限り、程度の差はあれ、最賃の上昇は当分続くとみられる。

こうした背景もあってか、今年6月から始まった経産省の「新たなコンビニのあり方検討会」では、複数の識者から利益配分の見直しについての言及があった。

急速な無人化ができない以上、ロイヤルティーの減額はもはや不可避といえるだろう。仮にできないのであれば、違約金をとらないなど、加盟店との円満な解約を進めていく必要がある。

今年、近隣に同じチェーンの新店を出され、日販が10万円前後減ったという東日本のオーナーは嘆く。

ドミナント(集中出店)で減った売上を、シフトに入ってカバーするのは無理。今でも何日もシフトに入り、過労死レベルで働いているのに、さらに人件費が上がるなんて…。加盟店の努力だけで、毎年の人件費上昇分を補うのは不可能、もう限界ですよ」

コンビニオーナー「最賃アップ」に戦々恐々 本部との「利益配分」見直しは急務


(出典 news.nicovideo.jp)


<このニュースへのネットの反応>

最低賃金を上げざるを得なくなったら、契約を切っていくしかなくなりますね... おや?某国に似た状況に...


実際潰れてる店沢山あるけれども。とっくに過渡期過ぎてる*。近所のコンビニだった店も、居抜きで美容院だの携帯ショップだのラーメン屋だの色んな店になってるでしょ。


そのうちに商品の価格に人件費を転嫁するようになりますね 無限ループってこわいね


最低賃金1000円にしたところで、年間2000時間働いても年収200万にしかならい。そんな低賃金すら払えないビジネスモデルって何だろう・・・時給1000すら張らない企業には長い目でみたら退場してもらったほうが日本のためかもしれない


もう10年くらい前の角地L字型(駐車場)店舗への移行時代から、コンビニ業界はスクラップビルドな店舗見直しにシフトしている。昨今ネットを騒がす潰れた+ドミナント云々も全てはこの方針に行き着く。だからその機会に採算取れない・辛くて辞めたがってたオーナーは皆辞めてる。


人手が無くて潰れるなら、増え過ぎたコンビニが淘汰されれば解決するし。 その中で、設備投資で自動化を進めて少人数で仕事を出来るようにしたコンビニが最終的に繁栄する。


最低賃金の問題に関しては、そりゃ単純に時給換算だとそうなるけれど、会社員には賞与があるからね、、、としか言いようがない。そこに賞与が加味されてよく言う年収300前後という話。バイトの時給換算で言うからややこしくなるだけで、日給換算(最低日給1万)のほうがこの問題は解りやすい


自爆営業があるらしいから賃金上がっても、取り分は変わら無さそう。


アルバイトを雇う前提で経営しているなら個人商店として残るのも厳しいね


オーナーが赤字になるだけでコンビニ本部は全く懐痛まんだろうなあ


従業員を安くこき使わなきゃ成立しないビジネスなんてなくなったほうが社会のため。最チンアップはいい試金石になる。


税金が上がろうが、店員の賃金が上がろうが1プレイ100円のゲーセンって、そりゃあ大変だわな。法律で営業時間も縛られてるし...


根本的なビジネスモデルが間違ってる。最低賃金フルタイムに依存してる業種職種は一旦全滅していい


まぁ、いいんだけどよ。都内以外のコンビニはだいぶ減るんじゃね。そして、雇用が減ってフリーターがニートになるくらいか


田舎は人が少ないからそもそも客が少なくて利益が少ない、地方都市部だと人口が増える分、幹線道路に面してそれなりの数が設置されてるから一店舗ごとの売り上げが減る、首都圏になるとビルがあるとコンビニが入ってるくらい多いから、単純に本社への上納金比率を是正した後に店舗数も適正値まで減らすしかないんじゃないのかな?


人手不足が原因なら競合の多い都内のコンビニから潰れると予想。 郊外なら競合他社が存在しないしアルバイトの奪い合いにもならないからむしろ生き残るのでは?


イイ加減、コンビニ本部はロイヤリティー課金の元を店舗の粗利から純利益に変更すべきだな。


「オーナー」が戦々恐々、じゃなくて「本部とオーナー」が戦々恐々じゃないといけないんだけどなぁ…。てか東京に限定してもコンビニは平均時給千円行ってないってのは怖いな…。駅ナカ・駅近のコンビニに限らなくても、ご飯時には遠くから見ててもドン引きするような混雑っぷりの場所が多いのに…。


最低賃金が上がるとコストかけてでも自動化を進めるメリットが出てくるからそういう仕事が消滅していきそうだな。


つってもバイトは一人たりとも現状の賃金に納得してねぇけどな。仕事は増えるのに賃金上がらねぇって。


売上がちゃんとあるなら時給上げればいいだけ、これは仕組みがおかしい。本当の問題は、農水産や観光とかマジで生産性低くて低時給を違法覚悟で続けるか、廃業するかのラインでやってる中小をどこまで救えるかの話


大手フランチャイズ本部が搾取しまくるから、最低賃金でもカツカツな契約店。 契約内容を大幅に変えない限り、この状況が好転することはないだろう。 ちなみに共産党は最低賃金1500円まで上げると言ってますよ。


>gaudi 日本は社長が多すぎて生産性が低いってなんかのコラムで見たけど、最低賃金1000円すら出せない社長は無能通り越して、害悪でしかない。救う必要本当にありますか?


セブン&アイグループの18年度利益は6割が国内コンビニ。他事業は収益伸びても利益が伸びてない。利益/収益は国内コンビニは約25%、他事業は1%前後。オーナーやバイトが離れてコンビニ経営の持続性が失われたり、ロイヤリティ規制されたらグループごと傾くのでは…?


一本の道路を挟んで両側にコンビニとか見ると、戦々恐々ってアホなのか?と思う。


全国加重平均は874円。874円×8時間=6992円。6992円×20日=13万9840円。139840円×12カ月=167万8080円。年収167万円。


この記事は、年収167万円の人の給料UPで戦々恐々という事を書いている。この金額の年収を上げられないというなら、日本が終わってるのか、コンビニのビジネスモデルが終わってるかのどちらか。