私立小学校の児童と保護者が犠牲になった川崎殺傷事件。犯人が自殺したことを受けて、ネットメディア上でさまざまな意見が飛び交った。その後、官僚トップを経験したこともある父親が、「他人に危害を加えかねない」として息子を殺害する事件も発生した。本質的な問題はどこにあるのか。橋下徹氏が「絶対的な第1順位」を提示する。プレジデント社の公式メールマガジン橋下徹の『問題解決の授業』」(6月4日配信)から抜粋記事をお届けします――。

■他人を犠牲にしないことが絶対的な第1順位

5月28日朝、子供たちを殺傷し、51歳の犯人の男も刃物で自殺した川崎殺傷事件。

犯人の男を「自殺するなら1人で死ぬべきだ」と非難する意見に対しては、「それは冷たすぎる。自殺しないようにしていくのが社会の役割だ」という意見も出された。

僕は、自殺に悩んでいる人をサポートすることや、悩みがあれば支えていくよというメッセージを社会が出すことは当然であるけれど、しかし「どうしてもやむを得ず死を選ぶ場合には絶対に他人を巻き添えにしてはいけない、死ぬなら1人で死ぬべきだ」というメッセージを出すことも重要だという立場だ。生き方のみならず、死に方というものもしっかりと子供たちや大人たちに教えていくべきだと思う。

僕の意見には、「『死ぬなら』と死ぬことを前提とすることは優しくない。自殺もダメだし、他人を殺すこともダメで、生きることを説くことが大切だ」と、テレビ朝日の玉川徹氏に批判を受けた。

現実を見ない人は抽象論で語る。

自殺に悩んでいる人たちへのサポート体制は、僕も知事、市長のときに政策として実行してきた。全国各地の自治体でも同じようなサポート体制は構築しているだろう。その甲斐があったのか、かつては全国で年間3万人を超えていた自殺者が、近年は2万人程度で推移している。

(略)

自殺者が0なら、死ぬことを前提にする話はしなくてもいいだろう。しかし自殺者は0にはならない。そうであれば自殺者が出ることを前提に対応策を講じることが必要だ。

他人を犠牲にすることは絶対にあってはならない。他人を殺すことは、自分が死のうが死ぬまいが絶対にやってはいけない。他人を犠牲にしないということが絶対的な第1順位だとすれば、それを守るためには自分1人で死んでもらう場合もある。

これは他人を犠牲にしてはいけないということを、どれだけ強く想うかにかかっている。

特に、このような事件の被害者のご遺族に直接会った経験があるかどうかが左右するだろう。

僕は、ある。

自殺に思い悩む人を助けようとするカウンセラーの人たちには敬意を表するが、しかし彼ら彼女らは、何の罪もない子供の命を奪われたご遺族がどんなに苦しい思いをしているかを実際に見たことはあるだろうか。まだ人生がたっぷり残っている状態で命を絶たれた子供の無念さをどれだけ感じているのだろうか。

それはそれは、言葉で言い表せないほど、辛く、苦しく、無念だ。これらに比べれば、自殺に思い悩んでいる状態の方がまだましだ。

自殺に思い悩んでいる人を支援することは大切だ。しかし、自殺者を出さないようにすべきだと当たり前のことを叫ぶ人に限って、他者に不条理に命を奪われた者のご遺族と会った経験もないことがほとんだ。テレビで偉そうにきれいごとを喋っているコメンテーターも、そのようなご遺族に会ったことはないだろう。一度でもそのようなご遺族と会うことがあれば、社会の第1順位として、他人を犠牲にしてはならないということの絶対性を理解することができるだろう。

たとえば、自殺するにも、高所から飛び降りることがどれだけ他人を犠牲にする危険があるのか、そういうことを知らずに飛び降りをしてしまう者もいるだろう。自宅に放火して自殺したという事例もある。

年間2万人ほどの自殺者が存在する現実を前にして、このようなことは絶対に避けなければならない。自殺者を救うという視点のみならず、他人を犠牲にしてはならないという視点からも、飛び降りや自宅放火が絶対にダメなことはしっかりと教えるべきだ。

(略)

■息子を殺した元農水次官・熊沢氏の行為を僕は責められない

さらに、重要なことは、何の罪もない子供の命が他者に奪われ、最愛の子供を一瞬にして失ってしまうという事態を日本社会は絶対に認めないという姿勢を示すことだ。

亡くなった子供、そしてご遺族の苦しみを想えば、このような加害者や事件を絶対に許さないという姿勢を社会が示すべきだ。そのような社会の姿勢がなければ、亡くなった子供やご遺族はどうなる! このような姿勢を示す社会こそが優しい社会だと思う。カウンセラーやテレ朝の玉川氏は被害者への想いが弱過ぎる。

そしてこの事件の後、元農林水産事務次官の熊沢英昭氏が自分の息子を殺した事件が起こった。熊沢氏は、「息子は中学校時代から家庭内暴力を起こしており、最近、家庭内暴力が激しくなってきた。そして、近隣の小学校うるさいと言い始め、川崎の殺傷事件を見て、息子も人に危害を加えるかもしれないと思い自ら殺した」旨を供述しているようだ。

何の罪もない子供の命を奪い身勝手に自殺した川崎殺傷事件の犯人に、生きるための支援が必要だったと主張する者が多いが、それよりももっと支援が必要なのはこの親御さんのような人だ。自分の子供を殺めるのにどれだけ苦悩しただろうか。どんな子供であっても、親にとっては最愛の子供なのである。

しかし、その自分の子供が他人様の子供を殺める危険があると察知し、それを止めることがどうしてもできないと分かったときに、親としてどうすべきか? 今の日本の刑法では危険性があるだけで処罰などはできない。ではその息子をどうしたらいいのか? 自殺で悩む人へのサポート体制はたくさんあるが、このような親へのサポート体制は皆無だ。確かに引きこもりに対してのサポートは色々とあるが、成人している息子がそのサポートを受けてくれなければどうしようもない。

他人様の子供を犠牲にすることは絶対にあってはならない。何の支援体制もないまま、僕が熊沢氏と同じ立場だったら、僕も熊沢氏と同じ選択をしたかもしれない。熊沢氏がどこまで手を尽くしたかがこれから問われるところだが、本当に熊沢氏の息子に他人様の子供を殺める危険性があり、熊沢氏にそれを止めることがどうしてもできなかったのであれば、刑に服するのは当然としても、僕は熊沢氏を責めることができない。むしろ本当にこれで他人様の子供が犠牲にならなかったのであれば、ホッとしてしまう。

近代国家の刑法としては、危険性があるだけでは処罰はできない。しかし、本当に他人を犠牲にしてしまう危険が自分の子供にあると判断した時に、社会が処罰できないのであれば、親が処罰するしかない。もちろんその後の責任は全て親が被ることになるが、他人を絶対に犠牲にしてはならないということをとことん突き詰めると、これだけ厳しい判断を迫られることになる。このような究極の選択も、死ぬのであれば1人で死ぬべきだと言うことも、他人を絶対に犠牲にしてはならないという、人の命を最も大切にした、きれいごと抜きの態度振る舞いだと思う。

この原稿を書いた夜、うちの子供を集めてこの話をした。子供の意見を聞きながら、僕の考えを伝えたら、社会人になった長女が「まあ究極の親の責任やね」と言ってくれた。大学生の長男のところには、友人から「お前、ちゃんとせなあかんぞ」と、からかい半分のメールがいくつも来たらしい。中学1年の三女は、宿題があるからといってさっさと離れていった。この中学以下の三女と四女には、話す機会をまた作ろうと思う。

僕は子育てを妻に任せっきりにしてきた。今の風潮からすれば、完全に父親失格である。妻の子育ての苦労は半端なかったと思う。もちろん今も大変だ。生まれたての赤ん坊を大人にするというのは、想像を絶するほどの手間暇がかかるし、だからこそその反面、喜びと幸せも伴う。

ここまでやっと育ったこのうちの子供たちが、自殺者の犠牲になるなど、考えるだけでゾッとする。川崎殺傷事件の被害者のご遺族の悲しみはいくばくであろうか。自殺に悩んでいる人を支援することは社会として当然だ。世の中に苦しんでいる人が多いのも事実だろう。その人たちが生きる活力を得られるような社会をつくっていくのも当然のことだ。

しかし、繰り返し言う。「もし自殺するならこのうちの子供たち、その他の子供たちを絶対に犠牲にするな!」。そして、うちの子供たちだって今後、他人様を傷つけることがあるかもしれない。子育てには常にそのようなリスクが付きまとう。だからこそ、「他人様を絶対に犠牲にしちゃいけない。それはたとえ自分が死を決意したときでも」と、僕はうちの子供たちに言い続けていく。

人の命を大切にする社会を作るためには、死にたいと思い悩んでいる人の苦しみを解放してあげることと同時に、いかなる場合であっても絶対に他人を犠牲にしてはいけないということを親が自分の子供に言い続け、そして社会全体がそのような姿勢を示し続けることが必要だと思う。

(略)

(ここまでリード文を除き約3500字、メールマガジン全文は約1万1000字です)

※本稿は、公式メールマガジン橋下徹の「問題解決の授業」》vol.154(6月4日配信)を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は特別増刊2本立て、《【川崎殺傷事件】社会は絶対に「自殺の巻き添え」を許すな/【令和時代の天皇制(3)】今後の存続を占う「敬慕」というキーワード》特集です。

橋下徹公式メールマガジン「問題解決の授業」
【ご購読はこちらから→】 http://hashimoto.president.co.jp/
橋下徹と直接議論できるサロン橋下徹の激辛政治経済ゼミ』
【参加お申込はこちらから→】 http://ch.nicovideo.jp/toruhashimoto

※写真はイメージです。(写真=iStock.com/PeopleImages)


(出典 news.nicovideo.jp)


<このニュースへのネットの反応>

不条理に苦しんでる遺族の発言を盾にして息子*を遠回しに肯定するとか、さすがプレオンって感じだ


一人暮らしの息子を呼び寄せてその10日くらい後に*ている。家庭内暴力に耐えかねてってのは嘘だ。


橋下は*か


すぐ加害者側を被害者風に仕立て上げる左翼脳はホント好きになれない


*れた息子は屑だった。ってだけの単純な話じゃないの?


人*を肯定?なにいってんだ


ああいう風に育ててしまった親にも責任あると思うんだけどな。


否定してる奴らは第2の川崎事件が起きた方がいいと言ってるクズと解釈して良さそうだね。そう言う奴らこそ岩崎や飯塚幸三に*れればよかったのに。


大阪府知事・大阪市長・維新系の党首と政治のトップになりながら、この系統の事には全く何もしてこなかった「橋下徹」。この「引籠り」などの家庭問題に関しては語る資格すらない。さっさと消えてくれ


犯罪者予備軍じゃねーか


殺人親父は台所で襲われて身を守るために刺したと供述を変更した。当初はふとんの上って言ってたのに。メッタ刺しにしたのは、*損ねたら正当防衛を主張できないからだろうな。


元農水事務次官は最初から*ために息子さんを呼び戻したと見て間違いない。そして、寝ている息子さんを容赦なくメッタ刺しにしたのだ。


非表示にする場合はチェックを外す→

(出典 Youtube)

 こういうのをネットでキャラとしてやってただけだろ。それをまるで本性であるかのように解釈するのはかわいそうだ。


息子さんが仮に親を殴ったとしても、その何倍も何十倍も何百倍も親に殴られたからかもしれない。それを息子さんの口から聞くことができない。父親にメッタ刺しにされて口封じされたから。


*れた息子はクズだったと思うが、*た理由は元事務次官の勝手な思い込みじゃないの?


>ピザリックさん この事件関連の色んな処で被害者側が正常だ的発言をなされておりますがそれを裏付ける情報はございますか?ネット上ではそういうキャラで言って本性は違うと言うのは貴方の想像ではないと証明できないと妄言扱いされますよ?自分が拾った情報の範囲では学生時代のいじめ等で少なくとも発言は自己中心的かつ相手の事を考えない人間としか思えないのですが。


https://dot.asahi.com/wa/2019060500099.html?page=2 母親に大事にしていたプラモデルを、勉強しないからと壊されて家で大暴れしたという話はけっこう知られていた。その頃から、学校のイジメのうっぷんを家庭内暴力で晴らしていたのかもしれません <母親もいじめの加害者やん


そもそも、親を亡くした子供の前で俺の親はエライって言うのが、シャーペンを突き刺されたり失明する危険のある暴行を受けても不思議ではないほどの悪行なのか?そもそもそんなに仲良くない奴なら親が亡くなったかどうかなんて知らんし。


親を亡くした子供の前で、俺の親父は八百屋なんだぜ、って言ったらあかんのか?官僚だからあかんのか?もともとバブかれてたから、これを理由にいじめたれってなっただけのような気がする。


では、将来息子が大量殺人を*たとしたらどうする。どちらがマシかといえば、私でも実の子が赤の他人を手にかけるのを許すくらいなら自分の手で引導を渡したほうが何万倍もマシと考える。そして、その発想をプッシュするだけの要素が揃い過ぎていた。


もし仮に、引導を渡さなかったがために貴方達がその息子に*れるかケガを負わされたりしたらどうする。


叢雲 楓(TriG)<この息子さんが大量殺人をする兆候があったとは思えないし、仮にあったとしても*ていいとは思わない。そもそも大勢のヤクザ半グレは放置されているのだからこの世は危険だらけ。


この親父さんは、息子さんを*くらいならヤクザ半グレを片っ端からメッタ刺しにすべきだったよ。


貴方は何を言っているんだ?


人間の中にはね、本当にどうしようもない危険なバグを抱えている奴がいる。貴方は果たしてそれを真に理解しているのですか?


ピザリックさんと自分とでは思考の仕方に大きなズレがあると考えます。被害者の学生時代についてピザリックは「親が*だ生徒と前で親の話をしただけ」でありいじめとの因果関係は0であると。自分はそのタイミングにその話題は親を思い出させたりして追い打ちかける危険性ない?とか考えますね。同調圧力かもしれませんがタイミング的にタブーを破る存在は排除に向かうと考えませんか?


叢雲 楓(TriG)さん>   ピザくん相手にしてもしょうがないですよ?都合が悪い意見は無視、公務員は全員クズという妄想癖、その上自分はなんの証拠もなく他人を犯罪者呼ばわりするダブルスタンダード。わざとやってるとしか思えないし、ガチならあなたのいう「危険なバグを抱えている奴」そのものですから。


エレクトロ<親が亡くなった子供の前で自分の親の話をすることは、シャーペンで突き刺したり失明の恐れがある行為をするいじめを受けても不思議ではないことですか?


白狐<筋の通ってない変な意見は無視したことがあるかもね


何てことはない、戦後+高度成長期の多忙コンボでまともに愛情を注がれなかった子供が暴走した結果でしょ。育てた親が悪いの前にこうなる土壌は出来上がっていた。これも見えにくいだろうが、大戦の敗戦国としての代償だぞ


高度経済成長期は1973年までだから44歳の息子さんはまだ生まれていない


理解できなくもないけど。そういった思いを著名人が発言したりして表に出しちゃうてのは色んな意味で怖いなぁ。


子供を*くらいなら自分が*って親なら、子供との関係は良好だったかもね。


これ、被害者が大量殺人の準備をしてたってならまあ、理解を示すのも分からなくはないが、現状、Twitterのイキリと父親の証言だけだろ?それなのに仮にも名の知れてる人間が擁護とも取れる発言するのはどうなんだ?衝撃的な事件が続いて世間が敏感になってるのはわかるが、その反面色々と麻痺してんじゃないか?個人的にそっちの方が恐ろしい。


橋下は体罰擁護ではもう支持を得られないと思ったら体罰反対に切り替えた。子*擁護発言をして支持を得られると思ったからこの発言をしたのだろう。


関係ない川崎の事件を持ち出してるので、読む気がなくしました。


まるで口封じをするかのように執拗にメッタ刺し。殺害後に自害しない保身欲。


おじいちゃんは製造物責任法を遵守しただけなんだよなあ


俺は責めるね。てか、自分が殴られた時点で通報しろよゴミカス役人が。闇に葬るのが習性になっちまってたのか?あーん?


自分で原因作っといて最後はそれか~いって思っちゃうんだけどね。


なんでこういう時だけ官僚の言うことを鵜呑みにするんでしょうかね?元官僚ですけど。


金持ちならほかの土地で過ごすという選択肢もあったはず。なぜ*うと思ったのか?